疑念抱かせる北の「終戦宣言」 防衛大学校教授・倉田秀也

正論
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防衛大学校教授・倉田秀也氏

防衛大学校教授・倉田秀也氏

 朝鮮半島での武力不行使には、「不可侵」に加え、「平和」-朝鮮戦争の戦後処理-という相互に関連する2つの次元がある。「平和」は軍事停戦体制から終戦宣言という政治宣言を経て、平和協定の締結という経路をたどる。この「平和」プロセスに北朝鮮の「非核化」プロセスを連動させることが、現在試みられている。

 「平壌共同宣言」に謳(うた)われた、ミサイル発射試験場の閉鎖などで「平和」プロセスが始まると看做(みな)すほど国際社会はナイーブではないが、それ以前に考えておかなければならないことはないか。

 ≪履行されなかった信頼醸成措置≫

 「不可侵」の誓約に信頼性を与えるのは、軍事的な信頼醸成である。先般の「平壌共同宣言」が筆頭に挙げているのもこれである。