米最高裁の独立性は揺らぐのか 同志社大学特別客員教授・阿川尚之

正論
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同志社大学特別客員教授・阿川尚之氏

同志社大学特別客員教授・阿川尚之氏

 10月6日、連邦控訴裁判所のブレット・カバノー判事が第114代合衆国最高裁判所判事に就任した。上院での審理中、クリスティン・フォードという女性が高校生のときにカバノー氏から性的暴行を受けたと訴え、承認が一時危ぶまれたが、何とか乗り切った。

 上院の多数は現在共和党が占めているが、民主党との差はわずか。穏健な共和党議員が3人反対票を投じれば任命は否決される。

 しかし急遽(きゅうきょ)行われた米連邦捜査局(FBI)の追加調査では性的暴行に関する新しい証拠が出ず、結局、本会議での投票では賛成50、反対48の僅差で可決、就任が実現した。

 ≪カバノー判事は先例を覆す?≫

 カバノー判事が本当に性的暴行を行ったのかは、わからない。事実なら任命を否定すべきかどうかも難しい問題だが、憲法問題ではない。安易なコメントは避けたい。しかしこの件をアメリカの司法と政治の関係から見れば、考えるべき点がいくつかある。