米の対中強硬姿勢は長期化する 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

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杏林大学名誉教授・田久保忠衛氏

杏林大学名誉教授・田久保忠衛氏

 トランプ米政権の命運を占う中間選挙などと大騒ぎをするメディアもあったが、予想通り上院は共和党が確保し、下院は8年ぶりに民主党が過半数を奪還した。

 大統領が選挙に没頭するのに何の不思議もないが、すべての言動を中間選挙目当てであるかのように書く日本の一部新聞、テレビの奇妙な解説は当分読まなくても済む。任期を半周した時点ではっきりしてきたのは、トランプ政権の対中国政策であろう。

 ≪「普遍的原理」を否定する国≫

 不規則発言が少なくなく、1つのテーマでも脈絡をたどりにくいトランプ発言を含めて米側の対中姿勢をはっきりさせたのは去る10月4日にペンス副大統領がハドソン研究所で行った演説だろう。改革・開放を唱えるようになった中国の発展を望んで行った支援がいかに裏切られたか、3年前に訪米した習近平国家主席がホワイトハウスのローズガーデンで明言した南シナ海を「軍事化するつもりはない」との約束はどうしたのか。