「移民国家宣言」に呆然とする 評論家・西尾幹二

正論
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壁を乗り越えて米国への不法入国を試みるホンジュラスからの移民希望者=12日、メキシコ・ティフアナ(ロイター)

壁を乗り越えて米国への不法入国を試みるホンジュラスからの移民希望者=12日、メキシコ・ティフアナ(ロイター)

 人口減少という国民的不安を口実にして、世界各国の移民導入のおぞましい失敗例を見て見ぬふりをし、12月8日未明にあっという間に国会で可決成立された出入国管理法の改正(事実上の移民国家宣言)を私は横目に見て、あまりに急だったな、とため息をもらした。言論人としては手の打ちようがない素早さだった。

 ≪新たな民族対立に耐えられるか≫

 私が外国人単純労働力の導入に慎重論を唱え出したのは1987年からだった。拙著『労働鎖国のすすめ』(89年)は版元を替えて4度改版された。初版本の当時は発展途上国の雇用を助けるのは先進国の責務だ、というような甘い暢気(のんき)な感傷語を堂々たる一流の知識人が口にしていた。この流れに反対して、ある県庁の役人が地方議会で私の本を盾にして闘った、と私に言ったことがある。