紫禁城で旧正月を祝う人ら=1月30日、北京(ロイター)
「中華人民共和国」と称する中国は今秋10月1日に建国70周年を迎えるため、大規模な閲兵式を目指して祝賀ムードを盛り上げている。習近平国家主席も「中華民族の偉大な復興」を目標に国内諸民族に対する支配を強化し、香港の「成功モデル」を持ち出して「台湾統一」を呼びかけている。「古希」に達した中国はいかなる論理に依拠して存続してきたのか。この奇妙な国名を持つ隣人はどこへ向かおうとしているのか。
≪中華とは漢民族を指す概念≫
「中華人民共和国」どころか、中国という名称自体が新しい。明治期に日本に亡命してきた知識人の梁啓超らは近代国家に国名があることに気づき、漢民族による排満思想が高まっていた実態に即して、中国を積極的に用いるようになった。排満思想とは清朝の支配者である満洲人を駆逐し、「中華を回復しよう」という考え方である。中華はそのまま漢民族を指す概念だった。それまでの東アジアの人々は全て王朝の臣民を称し、清国人や明国人と名乗っていた。