
≪「極論」が独り歩きしている≫
私は2011年から「ロボットは東大に入れるか」という人工知能(AI)プロジェクトを進めている。そのためだろう。AIについて雑多な質問を受けることが多い。先日、ある記者からこんな質問を受けた。「あと数年したら、人間の先生に代わって授業をするAIは登場しますか?」
もちろん、そんなことは起こらない。現在のAIは意味を理解できないからと答えたが、相手は食い下がる。「英語で生徒と対話するAIも開発されたと聞きます。生徒のレベルに合わせて数学の問題を出して、自動で採点をし、間違ったポイントを教えてくれるAIもあります。各生徒にパソコンを与えて、AI先生が生徒に合わせた最適のメニューで授業をする。その方が生身の先生が教えるより良いのでは?」