正論

平成のあきらめ気分は続くのか 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋

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社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋氏
社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋氏

 山本七平氏の「空気の研究」は、1975年に総合誌『文芸春秋』に連載された。今は単行本で広く読まれている。空気とは理性にもとづく論理的判断とは別の雰囲気が「強力な規範となって、各人の口を封じてしまう」力のことをいう。少し前の「忖度(そんたく)」(「空気を読む」)騒動は山本説の見事というべき実証シーンだった。

 ≪あたりに醸しだされる雰囲気

 今の厚生労働省の統計不正問題も空気によるものにみえる。本紙「産経抄」(1月24日)も不正に気づいた職員もいたはずだが、「ただその場の空気を読んで口をつぐんできた、としか考えられない」としている。山本氏の射程の長い慧眼(けいがん)に敬服するほかはない。