正論

反捕鯨は日本たたきの感情論だ 東京大学名誉教授・平川祐弘

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南極海で日本の調査船に対して瓶を投げつける反捕鯨団体シー・シェパードの活動家ら=2011年1月(日本鯨類研究所提供)
南極海で日本の調査船に対して瓶を投げつける反捕鯨団体シー・シェパードの活動家ら=2011年1月(日本鯨類研究所提供)

 中国や朝鮮の肩を持ったことがある。天安門事件の興奮のまださめやらぬ北京で教えていた私は、外国人教師の定宿の友誼賓館に泊まっていた。するとその食堂の一つで犬の肉を出すという。広告を見に行くと、目の前で一西洋人が「Dog meatとはけしからん」と掲示を引き裂いた。昨今のわが国もペット・ブームだ。この英国人の肩を持つ人もいるだろう。

 だが北京在住の日本人教師たちの反応は違った。掲示を破ったと聞いてその英国人の自己中心的正義感に鼻白んだ。ドッグ・ミートを食うのは野蛮、と決めつける西洋人に違和感を覚えた私たち日本人教師は、その晩、揃(そろ)ってその店へ出向くこととし、破られた掲示の残り半分に記された番号に電話で予約した。初めて食べたが、安い羊肉よりも狗肉(くにく)のシャブシャブの方がうまかった。料理長は「あんた方は朝鮮人か」と訊(き)いた。なんでも北朝鮮の要人が来たとき周恩来は狗肉でもてなしたという。

 ≪食の禁忌は宗教に由来する