正論

靖国150年に聴く鎮魂の曲 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司

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都留文科大学の新保祐司教授(瀧誠四郎撮影)
都留文科大学の新保祐司教授(瀧誠四郎撮影)

 今年は、靖国神社創立150年である。改めて英霊に深く思いを致す機会とすべきである。その思いをさらに深いものにする一助として、英霊に関係した名曲を2つ紹介したいと思う。これを聴くことによって靖国の英霊に対する感謝と崇敬の念は極まるであろう。

 ≪英霊の記憶は受け継がれる≫

 こういう音楽が貴重なのは、戦争を経験した人間が少なくなっていく中で、真正の芸術によって表現されたものの裡(うち)に英霊の記憶は受け継がれていくからである。今後、日本人はこのような音楽を聴くことによって、民族の歴史としての戦争を回想することができるであろう。2曲とも「海ゆかば」と交声曲「海道東征」を作曲した信時潔の作品だが、これも何か宿命的なものを感じさせる。