正論

伊藤忠の株式取得に疑義あり 弁護士・前早稲田大学教授・上村達男

 日本の企業社会はまさにガバナンスで明けてガバナンスで暮れるというほどだが、ガバナンス・コード(企業統治指針)は語るが会社法は語らないという風潮には薄っぺらなものを感ずる。以下、気になった近時の事例について若干コメントしたい。

 ≪制度の未熟につけ込んだ

 私は早稲田大学でバレーボール部の部長をしてきたから特に気になるのかもしれないが、伊藤忠によるデサントの株式取得には大いに疑問がある。その中心は株式公開買い付け(TOB)の取得目標を40%とした点にある。それまでの株式保有比率30%を40%にしたのは重要事項決定の拒否権を取得するのが目的だったようであるが、海外では定款変更や合併などについて株主総会の特別決議を必要とする場合にこれを軒並み拒否できる立場にあれば支配株主とされ、支配株主の忠実義務その他の法的責任を免れない。