正論

「平静」という成熟を継承したい 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋

御殿山トラストシティーで行われた御殿山さくらまつりに並ぶ、元号を記した提灯=3月31日午後、東京都品川区(桐山弘太撮影)
御殿山トラストシティーで行われた御殿山さくらまつりに並ぶ、元号を記した提灯=3月31日午後、東京都品川区(桐山弘太撮影)

 私は2月15日の本欄に「平成のあきらめ気分は続くのか」を寄稿してこう書いた。平成末期の秩序を深いところで支えたのは、「あきらめ気分」だったと。そして、「あきらめ気分」による秩序維持の仕掛けがいつまでも続くとはかぎらないだろうとした。

 しかし、平成末期にあらわれた社会的「あきらめ」気分には、“世の中とは所詮(しょせん)そういうもの”で“仕方がない”としてしまう消極面だけではない。そこに「近代の病」を克服する成熟した精神のあらわれを読み取ることもできる。あきらめ気分には、否定的・消極面と積極面の複眼の視点をあわせもつことが必要であろう。

 ≪欲望が高進する「近代の病」