正論

チベット仏教復活は夢ではない 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英

インド・北東部アルナチャルプラデシュ州タワンを訪れたダライ・ラマ14世=2017年4月8日(岩田智雄撮影)
インド・北東部アルナチャルプラデシュ州タワンを訪れたダライ・ラマ14世=2017年4月8日(岩田智雄撮影)

 今年はチベットの指導者、ダライ・ラマ法王が人民とともに蜂起し、中国に武力鎮圧されてから60周年に当たる。言い換えれば、法王がインドに亡命して60年の歳月が過ぎたことになる。法王が1989年にノーベル平和賞を受賞して30周年。同じ時期に中国共産党は天安門広場で民主化を求める学生と市民を虐殺したので、北京にとっては不名誉な年でもあった。

 ≪大清帝国を支えた「屋台骨」

 チベットは「世界の屋根」にある、独立国家だった。高原の住民は自国をチュシ・ガンドゥク、即(すなわ)ち「4つの河、6つの山脈」と呼ぶ。広大なチベットにさまざまな方言集団が分布するが、どのグループもチュシ・ガンドゥクという言葉を聞いただけで涙を流し、胸を躍らせて、深い愛情を覚える。その地を平和に統治してきたのが、ダライ・ラマである。