正論

東アジアの構造変動に向き合え 防衛大学校教授・神谷万丈

神谷万丈・防衛大教授(古厩正樹撮影)
神谷万丈・防衛大教授(古厩正樹撮影)

 ≪平和の前提だった3秩序≫

 令和が恙無(つつがな)く始まったが、世界情勢はそれとは無関係に動き続けている。特に日本周辺では、これまで東アジアの平和の前提となってきた3つの秩序構造が、同時に変動のきざしをみせている。

 第一は、リベラル国際秩序の動揺だ。戦後の平和と繁栄の根底にあった、米国が主導し日本などの民主主義諸国が支えるルールを基盤とするリベラル国際秩序が、中露の力任せの行動により脅かされている。最近の米中対立が新冷戦といわれるのはゆえなきことではない。それは単なる貿易戦争を超え、米中のいずれが将来の世界の中心になるのかを問う体制間競争の様相を呈しているからだ。

 第二は、北東アジア核秩序の動揺だ。これまで、この地域の核秩序の大前提には日本の自己抑制があった。そして日本の非核政策の根底には、核武装は世界の反発を招くとの判断があった。もし北朝鮮の核保有が既成事実化すれば、日本の損得勘定の前提は揺らぐ。