
日本には女性の天皇が即位された例が10例ある。うち2例は「重祚(ちょうそ)」(一度譲位した天皇が再び即位すること)なので、実質8人である。そのうちの6人が6~8世紀に集中しており、初めての女性天皇は推古天皇だ。なぜこの時代に女性天皇が多かったのか。
一説には、蘇我氏や藤原氏といった有力豪族の血がいくつも皇室に入っていた。権力闘争のあおりを受け、次期の男系の天皇が決まらず、女性天皇で中継ぎするケースが多かったからだという。
もっともこの時代にも天皇が若くして崩御。皇位継承順位の1位にあたる親王が幼いために皇后が代理でつなぐケースもあった。親王が生まれるまで女性天皇が中継ぎしたこともある。女性天皇の残る2例は17~18世紀だ。
≪時を超え変化なく受け継がれ≫
ここで注目すべきは、女性天皇は存在したが、女系天皇は一人も存在しなかったということだ。女性が中継ぎとして天皇の座につくことはあっても男系でつないできた。男にしかなく父から息子へと受け渡される性染色体Yについては途切れるとか、別のものに変わるということはなかったのだ。