正論

「臣」の制度を再構築するとき 東洋学園大学教授・櫻田淳

改元の日、皇居・二重橋前では記念撮影する人の姿も見られた=1日午前、東京都千代田区(桐原正道撮影)
改元の日、皇居・二重橋前では記念撮影する人の姿も見られた=1日午前、東京都千代田区(桐原正道撮影)

 令和改元から一カ月がたった。令和の御代が、皇室に対する国民各層の深い「共感」を確認しつつ幕を開けたことは、卒直に嘉(よみ)すべきである。ただし、国民の側には、皇室に寄せる「共感」とは別に、考えておくべきことがある。

 そもそも、皇室制度は、上皇上皇后両陛下や天皇皇后両陛下、さらには他の殿下方を含めて、「生身の人間」によって支えられた社会制度である。上皇陛下も、「生身の人間」である故に、老いを覚え、譲位の断を下された。

 ≪「無条件の無私」に国民側は≫

 しかしながら、そうした「生身の人間」たる方々に「無条件の無私」を半ば当然のように求め、それに接して事あるごとに「寄り添っていただいた…」という感慨とともに無邪気に喜んでいたのが特に過去数十年の国民の姿である。