正論

米国との戦争に勝てない中国 東京国際大学教授・村井友秀

会談前に握手するシャナハン米国防長官代行(左)と中国の魏鳳和国務委員兼国防相=5月31日、シンガポール(ロイター)
会談前に握手するシャナハン米国防長官代行(左)と中国の魏鳳和国務委員兼国防相=5月31日、シンガポール(ロイター)

 信頼関係のない国家間の外交交渉と戦争の結果は比例している。戦争に勝つ国が外交交渉でも勝つ。米軍は世界一強い軍隊であり、米軍と同じルールで戦えばどの国も米軍に勝てない。米軍に勝つためには、「ナイフでスープを飲ませる」ように米軍に不利なルールで非対称な戦争を戦わなければならない。

 ≪国民の戦意を挫く戦略

 米国に勝った北ベトナムの指導者は次のように述べた。「米国が我々(われわれ)の兵士を10人殺すのに対して、我々が殺せるのは1人かもしれない。しかし、最終的に戦いに疲れるのは我々ではなく米国である」(ホーチミン主席)。ジョンソン米大統領も次のように述べている。「国内に分裂と悲観論が広がり、米国民の戦意が崩壊することが北ベトナムの頼みの綱であった」。中国は北ベトナムよりもはるかに強大な国だが、米国より弱い国であることに違いはない。