正論

原子力規制のあり方を考える 国際環境経済研究所理事・竹内純子

国際環境経済研究所理事・竹内純子氏
国際環境経済研究所理事・竹内純子氏

 規制の目的が社会的厚生の向上にあることは、大きな意見の相違はないだろう。しかし実際に、社会的厚生の向上に資するように規制を行うことは容易ではない。

 ≪問われる規制機関の説明責任

 例えば、効果や副作用の検証が十分でない医薬品を認可すれば、薬害を引き起こす恐れがあるし、かといって検証を長期間続け認可を出さなければせっかくの新薬が救えたはずの患者が救われなくなる。規制によって何を守るのか、規制による時間的・経済的コスト負担を社会はどこまで許容できるのかを考え、自分たちが何を目的にどのような規制活動を行うかを明確に説明する責任を、規制機関は負っている。