正論

世界史的転換期に戦略的外交を 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英

文化人類学者、静岡大学教授・楊海英氏(寺河内美奈撮影)
文化人類学者、静岡大学教授・楊海英氏(寺河内美奈撮影)

 「弱国に外交なし」。これは国家間で死活の戦いが繰り広げられていた春秋戦国時代のシナの謀略家たちの認識だった。日本外交も今、ある種の岐路に直面しているように見える。大国ゆえの、独特の悩みであり、千載一遇のチャンスでもある。大国であっても、戦略的な判断を間違えば、没落を招く危険性も常に付きまとっている。それは、対中外交である。

 ≪歴史に学び逆行するな≫

 現在、中国の特別行政区と位置づけられている香港で大規模抗議デモが続いている。既に3カ月過ぎたが、まだ終息の見通しが立っていない。本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反発したことが発端となり、たまりにたまった香港人の不満が爆発した。8月18日にも170万人に上る人々が抵抗の烽火をあげ(主催側発表)、北京当局に善処を求めた。しかし、共産党政権とその香港の御用官吏たちは対話に応じようとせずに、頑(かたく)なな姿勢を崩していない。