正論

「戦後処理」の蒸し返しを止めよ 東洋学園大学教授・櫻田淳

G20大阪サミットで、集合写真の撮影を前に、安倍晋三首相(中央)の前を歩く韓国の文在寅大統領(右)=6月28日、大阪市中央区(代表撮影)
G20大阪サミットで、集合写真の撮影を前に、安倍晋三首相(中央)の前を歩く韓国の文在寅大統領(右)=6月28日、大阪市中央区(代表撮影)

 第二次世界大戦勃発から80年の歳月がたった。ただし、日本では世の人々の関心は、日韓両国の確執の行方に集まっているようである。そもそも、現下の日韓確執を深刻にした一因は、諸国の「平等」を趣旨とする近代国際政治体系の中で、特に日本に対してだけは近代以前の土着的な「上下秩序」意識が通用するかのように振る舞った韓国政府の姿勢にこそある。

 ≪朝鮮王朝末期の外交を受け継ぐ≫

 朝鮮王朝末期の外交様相には、特に西洋諸国との「平等」を旨とした「条約関係」と清朝との「上下秩序」意識を反映させた「宗属関係」とが混在していたけれども、それは、現下の韓国政府にも受け継がれているようである。こうした韓国政府の外交様相は、明治以降、諸国との「条約関係」の堅持を徹底させた日本の信条とは全く相いれるものではない。戦時労働者案件に係る韓国政府の対応は、戦後国際秩序の根底にある「戦後処理」のありように触れるものであった故に、日本政府には受けいれ難いものであった。