英国のサッチャー首相は1988年9月、ブリュッセルで全欧の政治家に向けて演説し、西洋人の歴史体験にふれた。「ヨーロッパ人がいかにこの世界の多くの土地を探検し、植民地化し--私はなんら釈明することなく申し上げます--文明開化したかは、まことにすばらしい勇気と才覚の物語でありました」。
植民地主義を謝罪する必要はないとの発言に驚いた。詩人キプリング同様、自分たち西洋人は「白人の責務」を担って野蛮な民の世話を焼くために文明の事業をした、と言ったも同然だ。なるほどコロンブス以来の米国植民地化は人類史上の大事業だし、ロシアのシベリア開拓も文明開化だろう。そんなコロニアリズムにプラス面はあろうが、英首相のあまりに露骨な自己肯定に私は鼻白んだ。
≪漢民族専制より英植民地統治?≫