正論

左右とも中国になぜ媚びるのか 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英

静岡大学の楊海英教授
静岡大学の楊海英教授

 民主主義を守ろうとする香港市民のデモが勃発してからはや半年がたとうとしているが、日本政府といわゆる左右両翼の論壇からの発言に目立ったものはほとんどない。曖昧を美徳とする日本らしい、あたりさわりのないコメントばかりで、官民一体でぎこちない「日中友好」のムードをつくり上げようとしているように映る。いや、一党独裁の指導者、習近平氏に媚(こ)びようとしているようにすら見えて仕方ない。

 ≪中国を熱愛すれば進歩的か≫

 沈黙を守り通しているサヨクには「前科」がある。チベット人が共産中国の侵略に抵抗して、1959年にダライ・ラマ法王を擁してインドに亡命し、今日に至るが、「世界の屋根」で人権が侵害され続けてきた事実を左の論客は取り上げてこなかった。ダライ・ラマ法王が日本を訪れて講演会を開いても彼らは耳を傾けようとしない。