正論

高まる中国全体主義への懸念 東京大学名誉教授・平川祐弘

 「民主主義と全体主義とどちらが良いか」と質問すれば、「民主主義」の答えが返ってくる。そんな令和の日本に生を享(う)けて、まあよかった、と私はめでたく思う。

 だが中国では「全体主義が良い」と露骨に言わぬにしても、共産党の一党支配が良い、とお上(かみ)は言明する。かつてデモクラシーの体験のない隣国の下々(しもじも)がそれに同調するのは分かるが、在外の華人の多くもそうだとすると、問題だ。だが国家が人民を管理する北京の現体制を、何億もの人が素直に受け入れているとは本当か。