正論

令和の大嘗祭を迎えるに際して 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

皇位継承の重要祭祀「大嘗祭」の中心儀式「大嘗宮の儀」が催される大嘗宮=13日、皇居・東御苑
皇位継承の重要祭祀「大嘗祭」の中心儀式「大嘗宮の儀」が催される大嘗宮=13日、皇居・東御苑

 ≪一連の重儀が着々と進む≫

 即位礼正殿の儀が滞りなく行はれ、御大典の日程も次の大嘗(だいじょう)宮の儀を迎へる大詰に近づいた。一連の重儀を着々と進めてゆく政府・大礼委員会の自信に満ちた姿勢を望見するにつけ、昭和から平成への御代替りの頃の世情が思ひ出されて多少の感慨がある。

 それは僅か30年の昔の話である。当時、政府の「即位の礼準備委員会」は、新帝陛下の御登極を迎へるに当つて現行法令上明文の規定が無(な)い大嘗祭の斎行が可能かどうかにさへ自信を持てず、平成元年11月上旬から4回に亙(わた)り、15名の民間言論人を官邸に招聘し意見を聴取してゐる。時の内閣官房長官(森山真弓氏)は、議論の公正を保つためであらう、慇懃(いんぎん)ながら極めて慎重入念な口調で即位礼一般及び特に大嘗祭の国家儀礼としての性格について諮問を重ねた。