正論

「大東亜共栄圏」目指す中国の夢 東京国際大学教授・村井友秀

中国建国70年の軍事パレード(共同)
中国建国70年の軍事パレード(共同)

 現在、中国は「一帯一路」を太平洋に拡大し、嘗(かつ)て太平洋の覇権をめぐって日米が激戦を繰り広げた南太平洋のソロモン諸島やマーシャル諸島に進出しつつある。米国から見れば、80年ぶりに米国の海である太平洋に、再びアジアの覇者が手を伸ばしてきたように見えるだろう。

 ≪尊王攘夷と大東亜共栄圏≫

 尊王攘夷という民族主義を掲げて徳川幕府を打倒した明治政府は、民族主義を基本理念としていた。しかし、欧米列強の圧倒的な力に直面すると、開国して欧米諸国の経済的進出を許すという反民族主義的な政策を取らざるを得なかった。明治政府は言行不一致を合理化するために、反民族主義な開国は暫定的な政策であり、暫(しばら)くの間は頭を低くして目立たぬように国力を増強し(韜光養晦(とうこうようかい))、十分な力をつけた暁には必ず尊王攘夷を実行すると誓って政策の矛盾を糊塗(こと)する他なかった。