正論

「石炭悪者論」の行き着く先は 国際環境経済研究所理事・竹内純子

チリでの開催が断念され、スペインで開催されることになったCOP25。チリで開催が予定されていた会場周辺=10月30日、チリ(AP)
チリでの開催が断念され、スペインで開催されることになったCOP25。チリで開催が予定されていた会場周辺=10月30日、チリ(AP)

 気候変動に関するパリ協定が成立して以降、脱炭素化を求める声が急速に高まっている。二酸化炭素(CO2)を大量に排出する技術として真っ先にやり玉に挙がったのは石炭火力発電だ。各国政治リーダーが集まる国連気候行動サミットや、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)などに合わせ、脱石炭を求める抗議活動が必ず行われるようになっている。

 ≪悪魔や恐竜に喩える寸劇≫

 筆者が毎年参加するCOPでも気候変動対策の加速を求める若者が、石炭を、打ち滅ぼされるべき悪魔あるいは時代遅れの恐竜に喩(たと)える寸劇を披露するのをよく目にする。石炭そのものや石炭火力発電、そこに投融資をする金融関係者は揶揄(やゆ)、罵倒される一方で石炭火力発電の電気を利用する消費者やその調整機能によって支えられる再生可能エネルギーがその寸劇に登場することはない。わが国では原子力発電に対する逆風が強いが世界全体で見れば石炭に対する嫌悪感が強いことだけは確かだ。