正論

歴史に学ぶ多様性こそ存続の鍵 元文化庁長官・近藤誠一

近藤誠一・元文化庁長官(伴龍二撮影)
近藤誠一・元文化庁長官(伴龍二撮影)

 1845年のアイルランドのジャガイモ飢饉(ききん)は、貧しい土地で栄養源をジャガイモのみに頼っていたことからもたらされた悲劇だ。100万人以上が餓死した。多様性の大切さを物語る教訓だ。

 米中対立、英国のEU(欧州連合)離脱、地球温暖化など現在我々(われわれ)が直面している問題は相互に複雑に絡み合い、解決の目途が見えない。偶発的核戦争やサイバー・テロの脅威はむしろ増している。書店には資本主義や民主主義の終焉(しゅうえん)に関する本が並ぶ。このような事態で、我々は「現象」の底流にある「歴史の流れ」を知ることで解決策と、自分が拠(よ)って立つべき座標軸が何であるかヒントを得ることができる。