正論

2020年代の「新防衛」発想を 防衛大学校教授・神谷万丈

神谷万丈・防衛大教授(古厩正樹撮影)
神谷万丈・防衛大教授(古厩正樹撮影)

 今日、日米同盟は奇妙な状況にある。同盟が「史上かつてなく強固」であるにもかかわらず、日本人の間では同盟の将来に対する不安感が払拭されない。米国との関係をどう規定し直していくのかが、2020年代の日本の安全保障政策にとっての大きな課題となろう。

 ≪常識が今後も通用するか≫

 世界最強の米国との同盟を基軸にして安全保障政策を進め得たことは、戦後の日本にとっての幸運だった。だが今や強固な日米同盟の維持が日本の意思だけでは保証されない状況が生じ始めているようにみえる。日本が同盟国として十分な安全保障努力を行う限り、米国が自らの世界戦略上不可欠なこの同盟を弱めるような態度をとるはずはない。それが従来の常識だった。だがトランプ政権の同盟政策をみると、この常識が今後も通用するかどうかは心もとない。