正論

年頭にあたり 今春の国家的な難問題について 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

中国の習近平国家主席(右)と握手する安倍首相=2019年6月、大阪市内のホテル
中国の習近平国家主席(右)と握手する安倍首相=2019年6月、大阪市内のホテル

 昨年、殊(こと)に新元号が公布された5月1日以降は、新帝陛下御即位の御大典をめぐる一連の行事の盛行でめでたくも賑(にぎ)やかに過ぎて行つた。新帝が今上天皇として国民統合の地位に即(つ)かれての実質上の初年度である本年、我が国は内外に累積する国家的課題に対し、どの様な対応を以て其等を処理してゆく事になるのだらうか。

 ≪人権意識への無残なる裏切り≫

 先づ気になるのは4月に予定されてゐる日中首脳会談の開催である。それが日本国内で行はれる以上、中国の国家主席たる習近平氏を我が国は国賓として招聘(しょうへい)する事になるといふ。その国賓といふ待遇に向けての草莽(そうもう)の衆庶からの疑惑の声は極めて早い段階で発せられ、与党である自民党の国会議員の中にも「日本の尊厳と国益を護る会」に結集してゐる両院の議員達を中心に強い反対の声が挙(あが)り、且(か)つ次第に高まりつつある。