正論

年頭にあたり 「香港・ウイグル人権法」論議を 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英

台湾雲林県で開かれた民進党の集会で拳を掲げる蔡英文総統=6日(共同)
台湾雲林県で開かれた民進党の集会で拳を掲げる蔡英文総統=6日(共同)

 2020(令和2)年が明けた。日本と世界にとって、どんな一年になるのか。実は日本政府の行動が国内のみならず、国際社会にも大きな影響を与える年となりそうだ。

 ≪地政学的に重要な台湾≫

 まず台湾の総統選であるが、民進党の候補で現職の蔡英文氏の当選確実の勢いは止まらない。蔡氏の最大の「援軍」はほかでもない中国の習近平総書記(国家主席)だ。習氏は昨年の1月早々に演説し、一国二制度を台湾にも適用、武力による侵攻も辞さない強硬な態度を示したことで台湾の遠心力を加速させた。