
「世界中で日本ほど子供が大切に扱われる国はない」。明治初期、東京大学で生物学を教え、大森貝塚を発見した米国のエドワード・モースが著書「日本その日その日」に記した言葉である。同時期に日本各地を旅した英国の女性旅行家、イザベラ・バードも「これほど自分の子供をかわいがる人々を見たことがない」(日本奥地紀行)と書き残している。
以後、約1世紀半、わが国は近代化が進み、格段に便利で豊かになった。その一方で育児不安や児童虐待が増え、児童相談所が2018年度に対応した心理的虐待、身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)など児童虐待は過去最高の15万9850件(厚生労働省速報値)に上っている。