正論

各国の歴史と歴史観の栄枯盛衰 東京大学名誉教授・平川祐弘

EU離脱が決まった英国の国会議事堂=ロンドン(AP)
EU離脱が決まった英国の国会議事堂=ロンドン(AP)

 各国の歴史とともに歴史観の栄枯盛衰を考えたい。

 私はシナ事変(日中戦争)前、幼稚園で、「日英米独仏伊露中」の順で世界の国名を習った。日本は別とし、世界一は大英帝国で、明治以来、海軍も官庁も銀行も、英才を英国に派遣した。中学でもKing’s Englishを習い、つづりは英国式だった。帝国大学も英文学は教えたが、米文学は教えない。そんなだけに、昭和十六年十二月八日、「米英ニ宣戦ヲ布告」と聞いて「英米」の順がひっくり返ったと驚いた。だが下り坂の英国は、欧州連合(EU)離脱騒ぎで、さらに順位をさげそうだ。

 ≪中国は党員富裕層の独裁か≫

 第二次大戦後、ソ連は世界第二の超大国として米国と張りあったが、社会主義体制の崩壊で転落、その経済的実力は今は韓国より下というが本当か。ソ連の衰退は、それが依拠した唯物史観の衰退となったが、同じく人民民主主義を奉ずる中国は、国家資本主義に転じ、世界第二にのしあがった。中国流プロレタリア独裁とは党員富裕層の独裁か。