正論

子年におおらかな子育て一考を 動物行動学研究家、エッセイスト・竹内久美子

 言うまでもなく、今年は子年(ネズミ年)である。ネズミは、ネズミ算式に増えると言うように、非常に多産だ。そして多産は子孫繁栄を意味するので縁起がよいとされている。

 ≪多産にせざるを得ない事情≫

 だが、ここでちょっと待ってほしい。多産はよいことと単純に考えていいのだろうか。多産だからよいのではなく、多産にせざるを得ない事情があるということではないのか。

 哺乳類の中で最も寿命(最長寿命のこと。捕食者にやられるとか、事故で死ぬケースを除いた、自然に死ぬまでの寿命)が短いのがネズミである。かつてそれは心拍数の観点から説明された。ネズミは一定の時間あたりの心拍数が多いので短命なのだ、と。