正論

ゴーン事件にみる法の誇りと劣化 早稲田大学名誉教授・上村達男

逃亡先のベイルートで記者会見するカルロス・ゴーン被告=1月8日(ロイター)
逃亡先のベイルートで記者会見するカルロス・ゴーン被告=1月8日(ロイター)

 日産自動車前会長、ゴーン被告の逃亡先での発言は、脱走犯の見苦しい自己弁護にすぎない。日本企業のトップが日本法を守らないというのであるから法治国家日本の全否定を意味するが、どこか快哉(かいさい)を叫ぶかの空気が内外にある。これには一方で明治以来形成されてきた日本法への誇りを抱きつつも、このところの法状況の著しい劣化を思わざるを得ない。

 ≪「法」未熟なら収奪対象に≫

 非西欧国家にとって「法」「規範」は乗り越えることの難しい大きな壁だ。軍事力と経済力までは何とかいけても、長年の失敗の経験がものを言う「法」の壁は分厚く、ナイーブな後発国はここで、この問題を熟知する先進諸国による収奪の対象となる。