正論

中国の情報統制で拡大する不信 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英

横浜・大黒ふ頭に向かうクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。多くの報道陣が集まった=2月6日午前、横浜市(佐藤徳昭撮影)
横浜・大黒ふ頭に向かうクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。多くの報道陣が集まった=2月6日午前、横浜市(佐藤徳昭撮影)

 ≪コロナウイルスと黄禍論≫

 19世紀末の日清戦争後に、ドイツ皇帝ウィルヘルム2世(1859~1941年)が黄禍論を語って、ヨーロッパに警鐘を鳴らした。曰(いわ)く、黄色人種の力が白人を凌駕(りょうが)すると、世界に災いをもたらす脅威は増大するという。

 この時の警戒すべき「黄色人種」は日本人や中国人を暗示していたが、時代とともに黄禍論の中身も少しずつ変質する。

 近年では世界最大の独裁的指導者、習近平国家主席の進める「一帯一路」という巨大な政治経済政策に伴う中国の対外膨張を指すことが多い。最近では湖北省武漢市で発生したコロナウイルスによる肺炎が、世界中で猛威を振るうようになった現象とも結びつけるような形で再登場している。