
≪コロナウイルスと黄禍論≫
19世紀末の日清戦争後に、ドイツ皇帝ウィルヘルム2世(1859~1941年)が黄禍論を語って、ヨーロッパに警鐘を鳴らした。曰(いわ)く、黄色人種の力が白人を凌駕(りょうが)すると、世界に災いをもたらす脅威は増大するという。
この時の警戒すべき「黄色人種」は日本人や中国人を暗示していたが、時代とともに黄禍論の中身も少しずつ変質する。
近年では世界最大の独裁的指導者、習近平国家主席の進める「一帯一路」という巨大な政治経済政策に伴う中国の対外膨張を指すことが多い。最近では湖北省武漢市で発生したコロナウイルスによる肺炎が、世界中で猛威を振るうようになった現象とも結びつけるような形で再登場している。