正論

中国のリスクから目をそらすな 防衛大学校教授・神谷万丈

北京市内の施設を視察し、マスク姿で体温検査を受ける中国の習近平国家主席(左)=10日(新華社=共同)
北京市内の施設を視察し、マスク姿で体温検査を受ける中国の習近平国家主席(左)=10日(新華社=共同)

 私は2017年から、日本国際フォーラムと米カーネギー国際平和財団の共同研究「チャイナ・リスクとチャイナ・オポチュニティ(機会)」の主査を務めている。

 このプロジェクトを立ち上げたきっかけは、尖閣諸島問題などに直面する日本が中国のリスクや脅威に敏感なのに対し、米国は、欧州諸国などとともに中国経済が生み出す機会に目を奪われがちだというギャップだった。このずれを放置すれば、日米の対中政策調整を妨げかねないとの不安を覚えたのだ。ところがこの3年の間にそうした構図は一変した。米国が中国のリスクや脅威を強く意識するようになったのに対し、日本では、中国との関係改善に前のめりともみえる動きが出てきている。