正論

日本は中国の友か贖罪の山羊か 東京国際大学教授・村井友秀

毛沢東の敵は日本より国民党だった=2月4日、中国・天安門広場(AP)
毛沢東の敵は日本より国民党だった=2月4日、中国・天安門広場(AP)

 中国から最近は「日本は良い国だ」という声が盛んに聞こえてくるようになった。5年前の世論調査(言論NPO)では、8割の中国人が日本は嫌いだと答えていた。何が変わったのか。

 現在の中国に民主主義国にある「世論」はない。中国のマスメディアは共産党の統制下にあり、ネットもコントロールされている。したがって、中国の世論が日本に好意的になったということは、中国共産党の対日政策が変わったということである。

 ≪毛沢東の敵は日本より国民党≫

 中国共産党の対日政策は時期によって変化した。国民党を打倒して政権を取った毛沢東時代(1950年代から70年代)は、共産党の第一の敵は国民党であった。共産党は労働者や農民の代表であり、腐敗した地主や資本家と戦う階級闘争が強調された。また、米国の強い圧力を感じていた当時の中国共産党にとって、日本は米国よりましな敵であった。