正論

テレビに映らぬ米民主党の混迷 日米近現代史研究家・渡辺惣樹

2月7日、米ニューハンプシャー州で開かれた討論会で議論するバイデン前副大統領(左)とサンダース上院議員(ロイター)
2月7日、米ニューハンプシャー州で開かれた討論会で議論するバイデン前副大統領(左)とサンダース上院議員(ロイター)

 去る3日火曜日は米国大統領候補選の天王山ともいえる日であった。結果はバイデン前副大統領とサンダース上院議員がほぼ票を分け合う形になり2016年のヒラリー・クリントン(元国務長官)対サンダースの戦いに相似してきた。選挙事情通は2人の戦いは7月13日から16日にミルウォーキーで予定されている民主党全国大会までもつれ込むと予想する。

 3月4日にはブルームバーグ前ニューヨーク市長が、5日にはウォーレン上院議員が撤退を決めた。レースに残るのは、若手のトゥルシー・ギャバード下院議員を含め3人となった。

≪変わる黒人有権者の意識≫

 共和党の予備選も行われているが現職トランプ大統領の人気は圧倒的で、党員の93%以上の支持を受け候補となることは確実である。日本のメディアではほとんど紹介されないが、トランプ人気の衰えは見えない。全米各州で繰り広げられる演説会(トランプラリー)は収容数2万人程度の会場が用意されるが、大統領に近い位置に立とうとする支持者は徹夜も辞さないほどでスピーチ当日は会場入りに支援者が長蛇の列を作る。その長さはメートルではなくキロメートル単位となっている。セキュリティーチェックが厳しいので入場に時間がかかるからである。