正論

現実を見据えて世界と協調せよ 防衛大学校教授・神谷万丈

テドロスWHO事務局長(左)と会談する中国の習近平国家主席=1月28日、北京(ロイター)
テドロスWHO事務局長(左)と会談する中国の習近平国家主席=1月28日、北京(ロイター)

 今や世界は新型コロナウイルスの問題一色の感があるが、国際政治の現実が変わったわけではない。国際政治学者の目からみると今回の騒動がわれわれに突きつけているのは、相互依存関係を管理するための国際協調の難しさだ。

 ≪国際的な相互依存と脆弱性≫

 20世紀後半以降の世界では、交通、運輸、情報通信を中心とする技術進歩の結果、国際的な相互依存関係が飛躍的に増大し続けてきた。それは国際経済の拡大と発展を促した半面、世界に過去にはなかった脆弱(ぜいじゃく)性をもたらしてきた。

 今回のウイルス禍によって、われわれはそのことを思い知らされた。世界中の国々が鎖国のように人の流れを止め合い、モノの流れも滞り始め、世界的に株価が暴落するという年頭には想像もつかなかった事態を目の当たりにしてわれわれは、これまで当たり前だと思っていた日々の生活が、実はどれほど国際的な相互依存に立脚していたのかに気づかされた。