正論

文政権審判ならず日韓関係に暗雲 龍谷大学教授・李相哲

 15日、韓国総選挙で出口調査の報道を見守る韓国の与党「共に民主党」の李洛淵前首相(前列中央)ら=ソウル(共同)
 15日、韓国総選挙で出口調査の報道を見守る韓国の与党「共に民主党」の李洛淵前首相(前列中央)ら=ソウル(共同)

 ≪結果に責任負うのは国民≫

 内戦の様相を彷彿(ほうふつ)とさせた韓国の与野党対決に決着がついた。与党「共に民主党」(以下「民主党」)が180議席(「共に市民党」の比例代表を含む)を獲得して圧勝した。2年後の大統領選挙の前哨戦でもあった総選挙で大勝したことで文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、残り任期中に安心して既定路線を突き進むものとみられる。

 保守系の『朝鮮日報』は社説で「●国(チョ・グク)任命強行や国民分裂、数えきれない失政、選挙工作事件など、文政権は審判を受けなければならなかったが、有権者は失政がどんなに大きくても統合党(野党)に票を入れなかった」などと評した。選挙で野党は文政権の「偽善、無能、無責任を審判せよ」などと呼びかけたが失敗、結局、新型コロナウイルス対策への評価に持ち込まれてしまった。

 与党の圧勝でこれ以降、民主党主導の各種「改革」が進むのは間違いない。文氏が改革の目玉にあげてきた「高位公職者不正捜査処」が7月には発足、●国前法相を11の容疑で在宅起訴した検察が槍(やり)玉に挙げられるだろう。

 文氏に向けられていた蔚山(ウルサン)市長選挙への介入疑惑など数々の疑惑は闇に葬られる可能性が高い。さらに文政権が進めてきた急激な最低賃金の引き上げ、反企業的な政策運営による経済の失敗、「脱米、反日、親中、従北」路線による外交の失点も不問になるだろう。いずれにせよ、結果責任は韓国国民が負うだろうが、気になるのはこれから2年間、場合によっては次期政権の5年間の日本との関係がどうなるかだ。