正論

新型感染症と世界の新たな繋がり 名古屋市立大学教授・松本佐保

名古屋市立大学の松本佐保教授
名古屋市立大学の松本佐保教授

 新型コロナウイルスの世界的な蔓延(まんえん)は、グローバリゼーションによるヒト、モノ、カネの移動と都市化の加速、これらが国境を越える動きと連動していることはいうまでもない。

 感染経路は航路ネットワークと連動し、格安航空サービスの拡充などで従来の航路から外れていた不便な地域にまで短時間で行けることが仇(あだ)になった。秘境の観光地にまで感染は容赦なく広がった。感染拡大を抑えられた所もあったが経済優先や外交関係、欧州ではEU(欧州連合)単一市場などの理由で国境閉鎖を躊躇(ちゅうちょ)したことがさらなる感染悪化をもたらした。

 ≪大きな価値観の変更迫る≫

 検疫は、EUでも各国単位で行われ、国境閉鎖や都市閉鎖などが有効な手段として多くの国で広く行われている。ボーダーレスの時代から再び国境の壁が高くなり、世界に分断をもたらすのではと危惧する人も少なくない。