正論

「国民の絆」を壊す9月入学論 九州大学教授・施光恒

4月6日、桜の花が咲く中で開催された、東京都足立区立小学校の入学式。新型コロナウイルス感染防止のため校庭で行われた
4月6日、桜の花が咲く中で開催された、東京都足立区立小学校の入学式。新型コロナウイルス感染防止のため校庭で行われた

 9月入学の議論が盛んになってきた。私は反対である。今回のコロナ禍は歴史的出来事である。これをきっかけに社会を変えようという議論が出てくることはわかる。だが、次の二つの議論を明確に区別しなければならない。

 ≪混乱に乗じるなかれ≫

 一つは難局に直面してもそれに耐え得るよう国や社会のあり方を強靱(きょうじん)化しようとするものだ。もう一つは、混乱に乗じて本来関係ない大規模な社会改造をこの際、やってしまおうというものである。前者は必要だが後者は慎むべきだ。難局への対応で混乱している状態では、変革の必要性について冷静かつ十分な検討は行い得ないし、現場の人々の仕事をいたずらに増やし、疲弊させてしまうだけだからだ。