≪都合よく「過去」でっちあげ≫
フェイク(偽)ニュースが最近注目されるようになっているが、ずっと昔から、フェイクヒストリーがもっと大きな問題だ。あったことのない「過去」をでっち上げて国家の神話として政治家に利用されていた。
例えば、ファシズム政権下のイタリアではローマ帝国の再生といった嘘の歴史が蔓延(まんえん)していた。旧ソ連の場合は、反対派の粛清などを行った共産党の歴史を捏造(ねつぞう)して血塗られた政治史を正当化しようとした。ナチスドイツは、「アーリア民族」を絶対視し、その根拠まで捏造して、いわばフェイクピープルをつくり上げた。
東アジアにもある。中国は、世界中のフェイクヒストリーのチャンピオンといえる。王朝、天命が変わる度に、新しい王朝があらゆる問題を前の王朝のせいにすることが、繰り返された。司馬遷の『史記』のような歴史的価値の高い例外もあるのだが、中国では「歴史」が政治の手段の一つにすぎない。
韓国も、中国に倣って自分なりのフェイクヒストリーをつくっている。日本版も刊行され注目された李栄薫元ソウル大教授編著の『反日種族主義』が紹介する通り、韓国での歴史教科書は捏造をばらまいているのが事実だ。独裁者を礼賛する北朝鮮のフェイクヒストリーはもっと酷(ひど)い。