正論

財政危機「私はオオカミ少年か」 日本財団会長・笹川陽平

安倍晋三首相は財政危機をどう乗り切るか=6月11日午後、国会・参院第1委員会室(春名中撮影)
安倍晋三首相は財政危機をどう乗り切るか=6月11日午後、国会・参院第1委員会室(春名中撮影)

 ≪外れかねない「ワニの口」≫

 甚大な被害が広がる新型コロナウイルス禍で2020(令和2)年度予算の一般会計は2度にわたる補正予算を含め160兆円に膨れ上がった。

 本年度の税収見込みは63・5兆円。コロナ禍に伴う景気の落ち込みで減少は避けられず、歳出と税収をグラフ化した「ワニの口」は上アゴ(歳出)が極限まで上がり、一方の下アゴ(歳入)はさらに下がり、素人目にはアゴが外れかねない危うい状況に見える。

 しかも90兆円は公債、公債依存度は過去最高の56・3%に上り、うち約80%の71兆円を特例公債(赤字国債)が占める。国債や借入金などを合わせた国の借金がGDP(国内総生産)のおよそ2倍、1114兆5400億円にも達した財政は一段と悪化する。

 「空前絶後の規模」(安倍晋三首相)の予算に異議を唱えるわけではない。新型コロナ禍は戦後最大の国難であり、社会は緊急事態宣言に伴いヒト、モノ、カネの動きが止まった。企業倒産や解雇、雇い止めといった事態も深刻化しており、休業で収入が減った業者に対する家賃支援や資金繰り対策、生活支援は最優先で実施されるべき不可避の対策だからだ。