正論

コロナ禍と「自由」をめぐる問い 日本大学教授・先崎彰容

マイナンバー訴訟の判決を受け、不当判決と書かれた紙を掲げる住民側グループの男性=15日午後、福岡地裁
マイナンバー訴訟の判決を受け、不当判決と書かれた紙を掲げる住民側グループの男性=15日午後、福岡地裁

 「アベノマスク」をめぐる狂騒曲は一段落した気配だが、相変わらず10万円一律給付については、自治体毎(ごと)の遅速の差が報道されるなど混乱は続いている。理由は簡単でオンラインで申請したとしても、データを紙に印刷し、住民基本台帳とにらめっこして確認し、時間を浪費しているのだ。オンライン申請まではデジタル化できた。でもその先は驚くべき前時代的な人海戦術に委ねられている。

 ≪「マイナンバー」の文明論≫

 泥縄式の作業を必死で行う公務員の姿は、戦争末期に粗悪な飛行機を死に物狂いで生産し、竹やり戦術の練習に明け暮れた国民と同じである。なぜなら米国が社会保障番号制度を使い2週間たらずで給付金を振り込んでいる時代に、わが日本は紙をめくる作業に忙殺されているからだ。戦前の国民もコロナ時代の公務員も、一人ひとりは異常なまでに頑張っている。でも力の使いどころが違う。行政組織全体を変えないで、公務員の自助努力を叫ぶのは、あまりにも典型的な精神論ではないか。