正論

陸上イージス中止と抑止リスク 防衛大学校教授・倉田秀也

米ハワイ州カウアイ島にある地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の米軍実験施設=2019年1月(共同)
米ハワイ州カウアイ島にある地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の米軍実験施設=2019年1月(共同)

 およそ2年半前の2017年末、北朝鮮が核実験と弾道ミサイル発射を繰り返す緊迫感のなか、陸上配備型イージス・システム-イージス・アショア-が、秋田県と山口県にある陸上自衛隊の演習場に配備される方針が固まった。それが今般、ブースターが演習場内に落下する保障はなく、周辺住民に及ぶリスクは否定できないとして配備中止となった。ミサイル防衛はコスト面で多くが語られるのに対して、リスク面で語られることは少ない。今般のイージス・アショアの配備中止の決定が、リスク面でミサイル防衛に示唆していることはないか。

 ≪抑止失敗と損害限定≫

 ミサイル防衛は、敵の攻撃を無力化することで攻撃を思いとどまらせる拒否的抑止に属する。拒否的抑止も抑止の一形態である以上、敵が攻撃を決意した時点で抑止は失敗したことになる。ところが、敵側の多くの人命を奪い、都市機能を奪う懲罰的抑止に対して、拒否的抑止は抑止失敗後、損害を限定する手段へと転化する。