正論

中印確執で日本に訪れた「機会」 東洋学園大学教授・櫻田淳

新興5カ国(BRICS)首脳会議に出席したインドのモディ首相(手前)と中国の習近平国家主席=2016年10月16日、インド・ゴア州(AP)
新興5カ国(BRICS)首脳会議に出席したインドのモディ首相(手前)と中国の習近平国家主席=2016年10月16日、インド・ゴア州(AP)

 ≪45年ぶりヒマラヤで衝突≫

 去る6月15日夜、インド北部ラダック地方、中国・インド両国の係争地帯にあるヒマラヤ山脈中のガルワン峡谷にて、中国・インド両軍部隊が衝突した。その衝突では、インド軍に20人、中国軍に数十人の落命者が出た。それは1975年以来、45年ぶりの事態と相成った。1962年の国境紛争以降、燻(くすぶ)り続けてきた中国・インド両国の確執が再燃したのである。

 ロイター通信(6月18日配信)は、衝突を招いた要因として、「衝突に至るまでの数日間に、中国側がこの地帯に機械類を持ち込み、山中に小道を切り開き、川をせき止めた可能性さえあることが、衛星写真から判明した」と報じている。

 これに対して、中国外務省の趙立堅副報道局長は、「インド軍部隊が2度にわたり国境線を越えて違法な活動を行い、中国側に挑発行為や攻撃を仕掛け、重大な衝突に至った」と主張した。そして、「この事件の善悪ははっきりしている。責任は中国にはない」と断じているのである。

 此度(このたび)の中国・インドの衝突の真相は定かではない。ただし、中国がたとえば南シナ海のような他の係争海域で示してきた対外姿勢を踏まえれば、中印国境のヒマラヤ山脈地帯でも似たような対外姿勢が取られたであろうと類推するのは、決して難しくない。