正論

米国の「反警察」運動が抱える虚実 福井県立大学教授・島田洋一

アメリカのミネアポリスで、黒人男性が亡くなったことに抗議するデモの参加者=5月(ゲッティ=共同)
アメリカのミネアポリスで、黒人男性が亡くなったことに抗議するデモの参加者=5月(ゲッティ=共同)

 「アメリカこそ黒人がひどく差別され、警察の暴力が横行する非人権国家だ」。ウイグルでの弾圧や香港「警察」の暴力が問題にされるたび、決まって中国共産党政権(以下中共)が用いる反撃セリフである。

≪実態を把握する必要がある≫

 こうしたプロパガンダに自由主義陣営が動揺するならば、中共の思うつぼである。米国における「黒人の命は大事」運動(以下BLM)の実態を正確に把握する必要がある所以(ゆえん)である。

 5月25日、米ミネアポリスで、白人警官が黒人男性を拘束後に死亡させる事件が起こった。首に膝を8分以上当て続けた行為は明らかに不当である。警官は翌日解雇され、重過失致死罪で起訴された。現場にいた同僚3人も制止を怠ったとして後に解雇、起訴されている。うち1人は黒人、1人はラオス生まれのアジア系だった。