正論

高度な「防衛的打撃力」の強化を 元駐米大使・加藤良三

米ハワイ州カウアイ島にある地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の米軍実験施設=2019年1月(共同)
米ハワイ州カウアイ島にある地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の米軍実験施設=2019年1月(共同)

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画が事実上撤回された。

 日本はその安全保障・国防政策が「非攻撃的」であるどころか時に「パシフィスト的」でさえある点で世界に冠たる国である。新型コロナ禍の今日までよく持ってきたとの感慨を持つ。

 ≪戦後、広まった「瓶の蓋(ふた)」論≫

 戦後アメリカには軍の首脳も含めて「瓶の蓋(ふた)」論(日本はアラジンのランプに閉じ込められた『魔神』のごときものであり、一旦(いったん)蓋を開けたら再び世界に災いを齎(もたら)すという喩(たとえ))の発想が残り、それ故日本の経済成長は許しても軍事力増強は適度な所で抑えるべきだという世論が根強かった。

 その裏には日本はもとより、極東・西太平洋は自分が抑えるという自信と自負がアメリカにあったわけで、その感覚は現在でも消え去ってはいないと思う。

 このアメリカの感覚があるが故に日本も「ごついことは『アメリカ、よきに計(はか)らえ』『自分は思い切りいい子になって経済的利益を満喫する』」という「分業」のうま味を享受できた。アメリカもそれを結局自分の利益だとして受忍する期間が長かった。