正論

戦後75年に思う 「富国強兵」に向け国論の喚起を 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

東京大学の小堀桂一郎名誉教授
東京大学の小堀桂一郎名誉教授

 ≪戦前生まれの世代の眼から≫

 米国を主とする連合国との大戦争に辛うじて停戦交渉を成立させてより75年の夏が来てゐる。戦前生れの世代の眼には、自分が体験した世界史の節目についての記憶がこの長さの既往の事になつたといふ事実に面してさすがに感慨がある。この長い年月、戦後の日本国民は所謂(いわゆる)東京裁判史観といふ偏つた戦争観が強制する対世界罪障意識の重圧を受け、前科者に対する如(ごと)き外部世界の冷い視線を堪へ忍んで懸命に働いて来た。

 昭和26年、解任されて帰国したマッカーサーの米上院軍事外交合同委員会での証言の眼目は、過去百年間に米国が犯した最大の外交上の過誤は、シナ大陸に於(お)ける共産主義の制覇を黙過してしまつた事にある、この趨勢(すうぜい)に抗して戦つた日本の対連合国戦争は正しく自衛戦争だつたのだ、といふ深刻な主旨であるが、この告白の全原文は平成7年に我々の手に入つた。