正論

米中「覇権争奪戦」の構造と行方 東京国際大学特命教授・村井友秀

村井友秀・東京国際大学特命教授(寺河内美奈撮影)
村井友秀・東京国際大学特命教授(寺河内美奈撮影)

 米中対立が拡大している。7月22日にビーガン米国務副長官が議会で「南シナ海で中国の主張を押し返す」と証言した。他方、中国の王毅外相は7月21日「南シナ海は我々の庭であり、中国と東南アジア諸国は永久に隣人だ」と述べた。但(ただ)し、中国では古代から「遠きに交わり近きを攻む」(兵法三十六計)が常識である。関税から始まった米中対立がハイテク技術移転などの経済対立、領事館の閉鎖といった政治対立に拡大し、南シナ海では米中両軍の動きが活発になっている。

 ≪経済よりイデオロギー≫

 米中両国はイデオロギーを国家の基礎に据えた国であり、世界的な供給網を持つ経済大国であり、自給自足が可能な資源大国である。イデオロギーは妥協を嫌い、経済は対立を嫌う。従って、経済重視派は対立を避けて妥協するが、イデオロギー対立は安易な妥協を許さない。尚、中国共産党にとって経済は政治の道具である。